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3月9日 明治公園で逮捕されて・・・その1

3月9日東京明治公園で、3・11を忘れないためのでもデモで逮捕者がでました。
逮捕の状況は映像や写真で明らかにされた、誠に不当なものです。
その当事者の言葉で綴られた連載です。
自分で考え、自分で行動するために、この不当な逮捕がまかり通る日本であることを覚悟し、
「今後」のためにそれでも行動するために、ご経験を無駄にしないようにしたい。

2.明治公園での逮捕(3月9日)-私の経験について「今後のため」報告し
ま    す。脱原発運動の今後に少しでも役立てば・・・(連載その1)
 └────
  (編集部)著者の了解を得て公開します。今後の不当弾圧に役立つので。
      なお、長文なので6-7回に分けて掲載します。
(原文は縦書きなので和数字の日付けは算用数字に直して掲載)

一.逮捕までの経緯
2013年3月9日に明治公園で行われた「3・9 さよなら原発集会」には、私は
妻と一緒に参加しました。途中で弟とも待ち合わせて一緒に会場に向かいました。
私たちは「脱原発」の主張にかねてから賛同しておりましたので、一昨年の3・
11フクシマ原発事故以来、「脱原発」の集会やデモには何度か参加したことが
ありました。
ところで、私は六十六歳(3・9当日)で三年前に心臓バイパス手術(糖尿病
の合併症による狭心症・心筋梗塞のため)を受け、その際左足の静脈の一本を冠
動脈パイパスに使ったため、左足側の腰痛や歩き辛さが「後遺症」として若干残
りました。集会当日に家を出た時は、「今日のデモはどうしようかな」と迷って
いました。しかし、集会で演壇に立たれた大江健三郎さんが、あのご高齢にも拘
らずスニーカーを履いて今日はデモ・コースを最後まで歩かれる積りで来られた、
との紹介が集会司会者からあったので、私も今日はデモ・コースを完歩しようと
決めました。
少し予定時間より押していた集会が終わって、用意された二つのデモ・コース
の出発口に隊列が並び始めました。私たちは(集会演壇に向かって左手出口から
出発する)「一般市民グループ」の参加する「Aコース」の隊列に加わることに
しました。出発前にお手洗いを済ませようと考え、演壇左側の上段後方の広場に
設けられていた仮設トイレで用を済ませてから、Aコースの先頭の方を探しまし
た。
Aコースの隊列は、既に前のほうからびっしりと詰まって並んで、後ろの方に
は特定の団体の旗を立てた隊列が続いていました。私たち(妻と弟も一緒に)は
市民グループのいくつかの旗の見えるAコースの先頭集団を見つけ、出発直前だ
ったので遅れまいと急いでその隊列の横まで行き、隊列の横から(出発口に向か
って左側の芝生の囲みを横切って)加わろうと小走りに駆けて行きました。
 時間は3時半近くでしたが、まだデモは出発前でした。私の記憶では、前回
(昨年だったと記憶していますが)の明治公園からのデモ出発時には、警察によ
るデモ規制は公園を出たところから始まったように思っていました。今回は会場
(公園)出口の手前から警官が二メートル前後の間隔で並んでいました。
 その間隔のある規制警官の列の間を急いで擦り抜けようとしてところ、規制警
官が「ここはダメ」と手を広げてようとしたような感じでした。デモの隊列は目
前でしたので、私はもう少しでデモ隊の列に駆けこめると思いました。目指す隊
列まであと一、二メートルだったので、近寄った警官の間をすり抜けられるだろ
うと安直に考えました。しかし、背の高い若い警官のほうが、六十六歳の「足の
衰えた」年寄りの私より、運動神経も体力も遥かに上でした。後で冷静に考えて
見れば、周囲の状況判断を出来ずに直線的に行動を取ったことになります。
 警官の制止を聞かずに、ただ目的に向かって走りぬけようとした「呆け掛かっ
た老人」(私のことですが)を、大男の若い警官が条件反射的に一瞬にして年寄
りの手を捕まえ捻り倒しながら「カクホ!」と叫んだように記憶しております。
その瞬間、それを見ていたデモ隊の数人が私を助け出そうと駆けより私の右手や
身体を引っ張り、一方、警官たちがバラバラッと駆け寄り、逃すまいと私の上に
圧し掛かってきました。重量級の警官たちが何人も圧し掛かってきた訳ですから、
「潰されるて死ぬんじゃないか」という恐怖が過ぎりました。地面に押しつぶさ
れた私の頭の上でデモ隊の何人かと警官たちが私の身柄の奪い合いを、まるで
「綱引き」のように始めたのです。間もなく左手に手錠が掛かり、その手錠は左
手首を締め上げ初め、それが痛いのなんの、「どちらも、引っ張り合うのはもう
止めてくれ」と息絶え絶えのなかで思いました。
手錠が掛かった瞬間に、私は取りあえず警察に行かなければならないだろう、
そうすると少なくとも数日の留置・拘留は覚悟しなければならないだろうと観念
しました。そう諦めて、覚悟した瞬間に、「どうせ捕まったなら一通り警察や留
置場や検察庁とやらをこの目で見てやろう」という好奇心が不思議に湧いて来ま
した。
この逮捕の瞬間に就いて、後に、四谷署での取調べのときと東京地検での検事
取り調べの中で分ったことですが、私を捕まえた若い警官は「被疑者が手を前に
伸ばして突き倒したので公務執行妨害で逮捕した」と報告していたようなのです。
私には「警官を突き飛ばそうという考え」も「突き飛ばしたという記憶」も全く
ありませんでした。「手を前に伸ばして」というのは、二人の警官の間を擦り抜
けてデモ隊のほうに走り寄ろうとした状況から、そういう形になっていたかもし
れない、とは思いましたが、それは警官に手を上げたという意味では全くなかっ
たことは間違いありません。私の脳裏の残像をもとにその瞬間を再現してみれば、
若い警官が制止を聴かずに自分の身体の横にぶつかってきた男に、カッとなって
反射的に、腕を捕まえ捻り倒した、ということだったのです。ただそれだけだっ
たのです。多分、若い警官がもう少し冷静だったら、飛び込んできた「ボケ老人」
を制止して後方に回ってデモに加わるように促せばよかっただっけの話ではなか
ったかと、後の取り調べの時に思いました。また、現場の警察官が冷静さを欠い
ていたのは、初めから警察側に「とにかく抑え込め」という空気(あるいは指示)
があったからではないでしょうか。
 そういう状況を客観的に振り返ってみれば、確かに私の迂闊さ(不注意)もあ
ったのですが、「(不必要な場所での)過剰規制」と「(若い警官の感情的)過
剰な逮捕」つまり「逮捕権の乱用」が引き起こした偶発的事件だった、と見るの
が最も妥当な見方なのではないか、と思います。またもう一歩踏み込んで、あの
時のデモ出発前の公園出口手前の規制は「デモへの参加妨害」という警察側の
「越権行為」だったのではないか、と考えることもできるでしょう。しかし、私
はそのことを取り調べの中では敢えて争うことはしませんでした。(但し、もし
起訴になれば、デモ出発前の出口での「不要な過剰警備」は、法廷での「重要な
争点」の一つになるだろうとは考えましたが)
 さて、話は逮捕時に戻りますが、一瞬にして起こったその揉み合いの風景の中
で、はっきり憶えていることが一つあります。女性の弁護士さんが「私は弁護士
の何某です」と叫びながらもみ合いの塊に近づいてきてくれたことです。それは
私の中に何やら「希望(望みの綱)」のようなものとして頭の隅に響きました。
後に(釈放後に)、その渦中にいた私の妻や弟から聞いて分かったことですが、
彼女は横浜の岡部法律事務所の岡部玲子弁護士でした。妻の話では、私がもみく
ちゃにされている時、デモの人に向かって岡部先生は「離れなさい!」と言って
くれたそうです。メチャ無茶な押し合いへしあいが止んで、警官にやっと助け起
こされたのは、多分その直後だったのではないかと私の記憶の中で符号しました。
因みに、これも後でわかったことですが、その現場に散乱して残っていた物(サ
ングラスや本や帽子など)を拾って預かってくれたのも岡部弁護士でした。釈放
後、その回収物の中に、鞄に入れておいた私の二冊の本もあったことを問い合わ
せて下さり、送付して下さったのも岡部弁護士でした。
 また、これも釈放後に知ったことですが、この混乱の中で傍にいた妻(六十八
歳)が、取り押さえに掛かっていた警官たちに「この人は体調が悪いので止めて
下さい」と必死で叫んで助けを求めていたら、その周りにいた警官(特定はでき
ないが)にキツイ肘鉄を胸部に食らったそうです。まだその打たれたところは痛
むようです。とにかく年寄りにも見境なく暴力をふるったようです。――「人間
に配慮を欠いた」社会と政治を見事に反映しているように思えてなりません。
by oomawotomeru | 2013-04-13 21:27 | 原発一般


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「小出裕章さんのおはなし」

2012年4月「原発に反対しながら研究をつづける小出裕章さんのおはなし」をクレヨンハウスから出版しました。2011年3月変わってしまった世界を生きる子どもたちへ、この本を読んでよりよい未来を生きて欲しいとの願いをこめて書きました。
「原発に反対しながら研究をつづける小出裕章さんのおはなし」著者:野村保子 監修:小出裕章

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