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11月駆けつけ警護に抗議する集会での清末愛砂氏のスピーチ

札幌で11月19日、駆けつけ警護決定に抗議する集会で
室蘭工業大学清末愛砂准教授のスピーチです。
鋭い指摘と今後の自衛隊の行く道を的確に捉え
今私たちが何をするべきかを考えさせてくれます
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本日、札幌で駆けつけ警護・宿あつ営地の共同防護にかかる閣議決定に対する緊急抗議行動(街頭集会、デモ)が吹雪の中で行われました。街頭集会時のわたくしのスピーチ全文を掲載いたします。長文、失礼いたします(米国での大統領選の結果と日本の明文改憲との関係についても後半で触れました)。
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 札幌での総がかり緊急行動にご参加の皆さん、こんばんは。室蘭工業大学の清末愛砂です。
 沈黙は、次なる暴走を生む。沈黙すればするほど、私たちは独裁政治を進める者たちを利することになる。だからこそ、本日、この場に多数の皆さんが沈黙を破り続けるために集まったと確信しています。閣議決定により、いま、私たちの目の前には厳しい現実が立ち現われています。駆けつけ警護と宿営地の共同防護という自衛隊に与えられた新しい任務により、南スーダンで展開されている国連平和維持活動に従事している自衛隊員は、改定自衛隊法および改定PKO協力法に基づき任務遂行のための武器使用が可能な状態に置かれることになりました。明らかな内戦状態にある南スーダンで極度な緊張を強いられている自衛官が、任務を妨害するとみなした者に対して武力を行使することが認められるとなれば、現実に一体どのようなことが起こりうるでしょうか。地元の民衆に対して銃を向け発砲する可能性、激しい応酬戦となり、パニックに陥った自衛官が乱射し、他の自衛官や他国軍兵士を含む警護対象を殺傷する可能性、そして、自らもその中で生命を落とす可能性等、さまざまなものをあげることができます。このような可能性を考えるときに、一つの光景を思い出します。銃口を向けられることの恐怖です。兵士に銃を向けられる側はどれほどの恐怖を味わうか。今にも火を噴きそうな銃口が目の前にある。その一秒、一秒が異常なまでに長く感じる恐怖心を人に与える、ということの残酷さ。それだけではありません。どこから銃弾が飛んでくるかわからないという恐怖を人に与える残酷さもあります。このような事態は、自衛官や日本に対して、激しい恨み・怒りを生むものとなるでしょう。
 日本国憲法は9条1項で、戦争・武力の行使・武力による威嚇を明確に放棄しています。立憲主義が生きているならば、これらの行為を放棄している以上、私が先に言及した状況は起きるはずはありません。9条1項は海外に派遣された自衛官から戦死者が出ることを予定していません。この点は極めて重要なポイントです。しかし、現実は日本国憲法の平和主義に反して、このような現実が目に見える状態になっているときに、沈黙は現実をよりいっそう現実たらしめることになります。このような蓄積が戦時体制を確固たるものとしていくのです。だからこそ、その芽を一つひとつ取り除いていくために、私たちは反対の声をあげ続ける必要があります。
 さて、米国ではトランプ氏が大統領選で勝利しました。大きな衝撃を受けたという声をよく耳にします。私は衝撃ではなく、ひたすら恐怖を感じています。それは何に対する恐怖なのか。レイシストでセクシストのトランプ氏が勝利したことに対する恐怖なのか。それもその一部ではありますが、私はいま、日本社会の近い将来の姿という意味で大変大きな恐怖を感じています。明文改憲への道がより進んだ、と思えるからです。トランプ氏がちらつかせていると言われる、在日米軍への全額負担要求や在日米軍の撤退等は、実のところ改憲勢力が改憲理由を正当化する際に都合よく使える材料となります。緊急事態条項の創設やそれとセットで改憲ターゲットとなっている24条のみならず、彼らが本来的に最も改悪を狙っている9条改憲がその射程に入ってきたと言えるでしょう。一昨年の集団的自衛権の限定行使容認にかかる閣議決定、また昨年の安保法制の強行成立の過程で、政権与党やその取り巻きたちは、日本を取り巻く安全保障環境が変わったと主張をすることで、同盟国との連携強化のための安保法制の必要性を強く唱えてきました。明文改憲を推し進めるにあたり米政府の主張を利用し、同盟国の状況が変わったために、今後の連携のためには軍事費のさらなる拠出のみならず、米国と肩を並べて共同で軍事行動をするために正規軍が必要と言い出す可能性があります。あるいは、在日米軍撤退の主張を利用して、日本の軍事力をさらに高めために正規軍が必要である、とも言いだすかもしれません。これらの動きに反対する者への対策として、緊急事態条項の創設と、改憲勢力が個人主義・利己主義を生み出すと主張する24条の改憲を狙ってくることでしょう。私たちはいま、極めて危険な状態にあります。改憲勢力は高笑いしていることでしょう。しかし、これ以上、高笑いさせるわけにはいかない。私たち一人ひとりの生活と尊厳がかかっています。再度言います。沈黙は、次なる暴走を生む。それを阻止するために、徹底抗戦あるのみです。ともに闘いましょう。ご清聴、ありがとうございました。
by oomawotomeru | 2016-11-17 11:28 | 憲法


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2012年4月「原発に反対しながら研究をつづける小出裕章さんのおはなし」をクレヨンハウスから出版しました。2011年3月変わってしまった世界を生きる子どもたちへ、この本を読んでよりよい未来を生きて欲しいとの願いをこめて書きました。
「原発に反対しながら研究をつづける小出裕章さんのおはなし」著者:野村保子 監修:小出裕章

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